JCO臨界事故23周年集会を開く

 10月1日、JCO臨界事故23周年集会が茨城県水戸市で開催された。集会は、昨年コロナ禍で開催できなかったために2年ぶりの集会でしたが、今年はコロナ禍で集会規模を縮小した中でも県内外から140人が参加した。

 主催は、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、臨界事故を語り継ぐ会、茨城平和擁護県民会議、茨城県平和フォーラム、東海第2原発差止訴訟団の6団体。

 JCO臨界事故は、1999年9月30日に東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所で起きた国内初の臨界事故で、作業にしていたJCO社員3人が致死量の放射線被曝を受け、内2人が急性放射線障害により亡くなったほか、周辺住民ら667名を超す人々が被曝、周辺住民30万人が屋内退避をしたもので、当時日本原子力史上最悪の災害の発生となった。

 

 集会は、最初に事故で亡くなった方への黙とう後、原水爆禁止日本国民会議の谷雅志事務局長が開会挨拶を行った。主催者を代表して原子力資料情報室共同代表の西尾獏さんは「国は、JCO事故の教訓を生かせず、『原子力安全文化』を言っていたが、福島第一原発事故を引き起こした。今また岸田首相がGX会議で、東海第二原発の再稼働を含めて、原子力の推進を進めるというがこれを許してはならない」と話しました。

 「臨界事故を語り継ぐ会」の大泉実成さんは、事故で大量の被曝を受けて亡くなった2人の被曝治療の状況と健康被害を訴えた大泉さん両親のことを報告し、「母親が事故後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)となり、一度自殺を図り、『生きているのがつらい』というところまで追い込まれた」と報告しました。

 「3.11甲状腺がん子ども基金代表理事」の崎山比早子さんが「福島原発事故と小児甲状腺がんの多発」をテーマに学習講演を行った。この中では、福島県民健康調査による甲状腺検査の中で正確ながん患者数の把握が出来ていないシステム上の問題点を指摘した。その上で、甲状腺がんと被曝との相関関係があるとする医学論文が出されているがそれらは採用しない状況となっていることを報告し、「福島県立医大と県民健康調査検討員会が甲状腺がんの多発の原因として「過剰診断」を挙げ、『甲状腺がんが被曝の影響とは考えない』との結論ありきになっている」と批判した。そして、「小児甲状腺が福島県で300人以上発症しているがこれは通常の数十倍であり、このことはだれも否定できない」とし、「チェルノブイリ原発事故ではベラルーシで事故前に生まれた子どもと事故後に生まれた子どもの甲状腺がん罹患率を発表したが事故後は増加していない。福島でも事故後に生まれた子どもも調査すれば問題がわかる」と話し、県民調査のあり方の問題点を述べた。

 

 続いて、東海第二原発差止訴訟団共同代表の大石光伸さんは、東京高裁での裁判支援を訴えた。

 

 集会アピールでは、岸田首相は8月24日GX実行会議で来年の夏以降東海第二原発も含めて、再稼働を加速させる指示を行ったことを批判し、「東海第二原発では、地元自治体で実効性ある避難計画が策定できず、県の東海第二発電所安全性検討ワーキングチームへも老朽化による安全性への疑問が質問書として提出され、県の審議はこれからも続く状況にある。この状況で、東海第二原発を早く動かせというような指示を出すことに強い抗議の声をあげる。住民のいのちに関わる広域避難計画が作られず、安全性への疑問も払拭できない状況で東海第二原発を動かすことは絶対あってはなりません。東海第二原発の再稼働を止めることが、JCO臨界事故と福島第一原発事故の教訓を生かす道です。東海第二原発の再稼働を許さず、廃炉を求めていきましょう」を参加者で確認した。 

 今年のJCO集会には、茨城県内44市町村中、36自治体の首長からメッセージが寄せられ、集会で紹介された。

共有する